クリニックの開業形態を比較

クリニックを開業する際、どの形態でスタートするかは非常に重要な検討事項です。主な開業形態には「新規開業」「M&A（医院買収）」「継承開業」があり、それぞれに特徴や注意点があります。

本ページでは、それぞれの開業形態の概要、メリット・デメリット、選び方のポイントを整理しています。どの方法が自身の状況に合っているかを見極める参考にしてください。

主な開業形態

ゼロからクリニックを立ち上げる方法です。場所や内装、設備、スタッフなど、すべてを自分で整備する必要があります。自由度は高い一方、時間と費用がかかる点が特徴です。

また、医療圏調査や地域ニーズの把握、広告戦略の立案など、多くの工程を自分で判断しなければならず、マネジメント能力も求められます。事業計画の段階から資金調達、人材確保まで計画的に進めることで、理想のクリニックを実現できる可能性があります。

既存のクリニックを買収し、運営を引き継ぐ方法です。既に稼働している体制をベースにできるため、スムーズにスタートできます。譲渡側の実績や評判がそのまま経営に影響するため、事前に財務状況や診療圏、従業員の状況などを丁寧に調査することが欠かせません。

譲渡価格や契約条件によっては、資金負担が大きくなることもあるため、M&Aの専門家と連携しながら進めることが重要です。

親族や勤務先の医師から医院を引き継ぐ形です。地域との信頼関係や経営基盤を活かした形で開業できます。親からの継承であれば、患者層やスタッフも既に関係性が築かれているため、開業後の安定感が期待できます。

一方で、診療スタイルの違いや世代交代による方針の見直しなど、運営上の調整が求められるケースもあります。円滑な継承のためには、関係者との信頼関係の再構築と、段階的な引き継ぎがポイントになります。

比較項目	新規開業	M&A	継承
初期投資	土地・物件取得、設備導入、スタッフ採用などで高コスト	譲渡価格によるが比較的コストは抑えやすい	物件・設備・人材を引き継げるケースが多い
準備期間	開業まで半年〜1年程度かかることも	既存設備活用で開業までの期間が短縮できる	親族などとの事前調整が必要な場合も
経営の自由度	方針や診療スタイルをすべて自分で設計可能ブランディングや経営戦略も自由に構築できる	既存体制があるため、最初は柔軟性が制限されることも改革には段階的アプローチが必要	前経営者の診療方針に配慮する必要がある少しずつ方針変更していくのが望ましい
集患力	一から地域での信頼構築が必要広告や口コミ戦略が鍵	既存の患者や地域の認知を引き継げる初期から一定の患者数を見込める	地域との信頼が既に築かれている場合が多い患者との関係を維持しやすい